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木造アパートJリーガー/スポッ人ライト

- アルバイト生活からプロ契約を勝ち取った鳥栖MF鐵戸
鐵戸裕史 J2鳥栖DF
日本一?の「庶民派Jリーガー」だ。今季プロ契約を勝ち取った鳥栖DF鐵戸裕史(24)の住まいは、現在も6畳の木造アパート。大学時代から住む佐賀市から鳥栖市までは、大学の先輩に無償で譲り受けた走行距離10万キロオーバーの軽自動車で通う。もちろん寮生活の選手と違い、食事の準備も毎日自分で行う。
鐵戸 練習後に遅くなると、スーパーでおかずを買って帰ることもあります。夜になると(価格が値引きされて)安くなるし…。
自らの信念を貫いて、Jリーガーへの道を切り開いた。カズ(横浜FC三浦知良)にあこがれ、小学生のころからJリーガーを夢見たが、全国大会出場すら、夢のまた夢…。熊本商卒業時にプロから声がかかることもなく、国立の佐賀大経済学部法務管理コースに進んだ。
鐵戸 車が好きなんで、大学を卒業したら自動車メーカーに就職しようと思っていたんですよ。
1年後、そのプランは頭から消えていた。入部した佐賀大サッカー部は部員20人弱。練習で11人そろわないことが多い環境の中で、ボールを蹴れる喜びを再認識した。指導に当たった少年サッカー教室の生徒から、サッカーの楽しさをあらためて教えられた。胸の奥でプロサッカー選手への夢に再び火が付いた。
鐵戸 気がつけば、大学生活はサッカー中心で回ってました。4年春のリーグで(九州学生)1部昇格を決め、秋には創部初の天皇杯にも出場。それから4、5チームのセレクションを受けたけど不合格でした。
不運にも股(こ)関節を痛め、万全の状態ではなかった。就職先を探すか、サッカーに再挑戦するか。多くの人に相談した中、父敏久さん(51)はこう切り出した。「悔いが残る人生だけは送るな」。アルバイト生活を送り、佐賀楠葉クラブでプレーする道を選んだ。
広告代理店の事務職でアルバイトした社会人1年目の12月には、鳥栖を含むJリーグ5チームのセレクションに挑んだが、この年も全滅。2年目には、朝9時から午後4時過ぎまで町工場で溶接作業に従事し、夜からの練習に参加していた。8月。3日間の予定で鳥栖の練習に参加。そのまま1週間、2週間と延びた後で、鳥栖から契約を打診されたが、それはアマチュア契約だった。
鐵戸 自分はプロを目指してやってきた。これだけやってきても、まだアマチュア契約どまりか。正直、心の中で葛藤(かっとう)があった。でも、これをきっかけに(プロの道を)つかみ取りたいという気持ちになった。
豊富な運動量とハングリー精神を買われ、アマチュア契約のままリーグ戦3試合に出場。11月には、まだ年俸480万円以下のC契約ながら、プロ契約にステップアップした。現在行われている鹿児島キャンプでも、中盤、DFでのレギュラー獲得にアピールを続けている。
鐵戸 自分でもあきらめが悪いと思うけど、自分の限界を見たくて挑戦してきた。まだ、自分には可能性があると思う。毎日の練習に悔いなく、1歩1歩階段を登っていきたい。
冬場には冷たい風が入り込むアパートに住む庶民派Jリーガーが、アルバイト生活で切り開いたプロサッカー人生1年目に挑む。【村田義治】
◆鐵戸裕史(てつと・ひろし)1982年(昭57)9月28日、熊本県益城町生まれ。転居した鹿児島市の武岡小3年でサッカーを本格的に始める。熊本に戻った後、益城中-熊本商でプレーし、高校2、3年の選手権では県4強。佐賀大では主将を務めた4年秋にチームを1部に昇格させ、天皇杯にも出場した。佐賀楠葉クラブを経て、昨年8月に鳥栖とアマチュア契約を結び、今季からプロ契約。168センチ、63キロ。
[2007年2月11日9時0分 紙面から]
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