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暴走をサッカーで償う得点王!鳥栖新居

2日、鳥栖対東京V戦で軽快に動く鳥栖のFW新居(撮影・進尚幸)
2日、鳥栖対東京V戦で軽快に動く鳥栖のFW新居(撮影・進尚幸)

 J1大分から日本代表が2人輩出され、再び九州サッカー界の注目度が高まった。日刊スポーツではプロアマ問わず九州・山口で活躍するサッカー人の素顔に迫る連載「蹴人(シュート)」をスタートする。初回はJ2得点王を快走する鳥栖FW新居辰基(22)。

 鳥栖の新居がJ2得点ランク首位(20点)を快走中だ。昨年1度記録したハットトリックは今季2度。通算3度は日本人ではリーグ史上初のこと。J2通算得点も日本人歴代3位(43点)まで浮上し、トップまで6点差とこちらも手が届きそう。

 新居 得点は自分だけじゃない。周りがいいボールをくれるので決められる。シュートが枠に入るよう毎日練習して、ゴールに直結する動きを意識しています。

 昨年も日本人最多タイの17点。強豪でない鳥栖では快挙といえる数字だ。ボールを奪う、ゴールに向かう意欲そして爆発力がある。DFラインの際で瞬時に静から動へ切り替え、ゴールを陥れる。得点力を支えるのは練習。クラブの公式サイトで好きな言葉には「練習はウソをつかない」とある。

 そのスピードスターがたった1度、ピッチ外で「暴走」した。2年前の8月。J2札幌時代に酒気帯び運転で事故を起こし、逮捕された。暗い拘置所で2日間を過ごした後、解雇された。将来を有望視された20歳の人生は一変した。街に出るとつらい思いをし、自宅から1歩も出れない日もあった。

 約2カ月は解体工事現場で働きながら、夜はジムで汗を流した。静岡FCでサッカーを再開した後、鳥栖の松本監督が救いの手を差し伸べた。「刑事処分と社会的な批判も受けた。過ちはだれでも犯すもの。どこでそれを取り返すか。私はこの人間をサッカーで助けたいと思った」。

 新居 多くの人に迷惑をかけた。すごく申し訳ない気持ちで…。普通の人と違って、自分にはサッカーしかできないし、サッカーで償いたいと思った。

 札幌時代は先輩と練習中のケンカはしょっちゅう。銀髪の時もあった。歯にピアスを入れ、やんちゃに映るが、別の一面もある。実家で飼うヨークシャーテリアと散歩するのが好き。「2匹いたんですが、母親は14、15年生きて死んで…」。今は60リットルの水槽で熱帯魚を育てる。最近、中沢啓治の漫画「はだしのゲン」を読み、「戦争に関するテレビ番組が気になっている」と真顔で語る。

 昨年オフには移籍話が浮上したが、「拾ってもらって、1年で出ていくわけにいかない」と自ら封印した。「若いチームだし、今のだんご状態な順位(5位)から抜け出したい」。北海道から鳥栖に移り住んで、寒さに少し弱くなったという。再出発の地に染まりつつあるようだ。【押谷謙爾】

 ◆新居辰基(あらい・たつのり)1983年(昭和58)12月22日、北海道当別町生まれ。小学4年で本格的に野球からサッカーに転向。札幌ユース時代に01年日本クラブユース選手権でMVPを獲得。02年にトップへ昇格し、同年J1第1ステージ鹿島戦で初出場初得点。04年8月の退団後、静岡FC(東海リーグ)を経て、05年から鳥栖。J2通算成績は131試合43得点(J1は5試合2得点)。家族は両親と兄。172センチ、65キロ。

[2006年9月4日9時16分 紙面から]

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