第1回チーム最年長は中身も「大人」
◆ MF布部陽功(33)

- 先頭にたってランニングをする布部(右)(撮影・藤尾明華)
◇原点は日本リーグ
最初のアビスパNO・1は、チーム最年長のMF布部陽功(33)。どんな練習でも一番前に出て仲間を引っ張る。頼もしいリーダーの原点は、少年時代にあった。
プロ13年目のベテランは、人と話をする時は常に背筋をピンと伸ばし、真っすぐ相手に向き合う。リトバルスキー監督に呼ばれても、報道陣の質問にも、サポーターに囲まれても同じ姿勢だ。「プロに入って一番練習時間が長く、中味が濃いので、毎晩9時に寝てしまった」と話すほどハードだったキャンプ前の福岡での練習後、雪がちらつく中、トレーニングウエアの上下で約20分、屋外でサポーターの求めに応じてサインを続けた。その間、子供と記念撮影をするため、かがむ以外は、背筋をぴしっと伸ばしたまま。顔が似ていると「ワンちゃん」の愛称で呼ばれるが、折り目正しい態度も、世界の王に通じるものがある。
◇14歳差ライバル
サポーターに丁寧に接する理由を尋ねると「自分も子供の頃、そうされて、うれしかったから」と、ほほ笑んだ。大阪で育ち、釜本らが活躍した日本リーグの試合を、よく観戦していた布部少年。試合後の競技場から出る選手バスに手を振ると、中から手を振り返してくれる選手がいた。サッカーに、さらに熱を入れ、長じてプロになる原体験だった。
「カラオケに行って最近流行の歌が分からないことくらいしか、年は感じない」と言い切る。最も若い選手とは14歳差だが、ピッチの上では横一線のライバルだ。「若手からも盗むものはある。僕が教えるなんて、おこがましいです」。どんな人にもリスペクトを忘れない。年だけでなく、中味もチーム一番の「大人」だ。【佐藤千晶】
◆布部陽功(ぬのべ・たかのり)1973年(昭和48)9月23日、大阪府出身のMF。北陽高から近大、ブラジル・ヒョーゴFCを経てV川崎(現東京V)入り。磐田、神戸、C大阪を渡り歩き06年、福岡に移籍した。J1通算234試合20得点、J2通算34試合出場。177センチ、72キロ。