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神村学園・鮫島先制弾/高校サッカー

- 前半18分、神村学園FWの鮫島は先制ゴールを決め指を突き上げ走りだす
<全国高校サッカー:神村学園2-1桐光学園>◇3日◇三ツ沢◇3回戦
高校サッカー界でも「神村旋風」だ。創部5年目の神村学園(鹿児島)が、初出場でベスト8に勝ち上がった。前半18分、FW鮫島翼(2年)がヘディングでチームの全国初ゴールをマーク。昨年7月、事故で亡くなった父洋海さん(享年46)に国立進出を誓った「翼くん」の先制弾で勢いに乗ると、1-1の後半32分には、途中出場のMF五領淳樹(2年)のゴールで勝ち越し、桐光学園(神奈川)を振り切った。05年春、甲子園初出場準Vの野球部に負けじと快進撃。県勢4年連続の8強も果たした。那覇西(沖縄)はPK戦で敗退し、九州勢で8強は神村学園だけとなった。
国立まで負けられない。神村学園イレブンの気持ちを象徴するFW鮫島の一撃だった。DF塗木竜也主将(3年)がヘディングで前線へ。相手DFラインの裏に飛び出したFW遠藤省太(3年)の左からのクロスを、ファーサイドで完ぺきにとらえた。「合わせるだけでよかった。決めた瞬間、父のことが頭をよぎった」。天国の父に届けとばかり、笑顔でピッチを跳びはねた。
感謝のゴールだった。昨年7月の練習中、建設業を営む父洋海さんが仕事中に転落事故に遭ったと連絡を受けた。練習を切り上げ、電車を乗り継いで午後11時に戻った実家で父の死を知った。「幼稚園の時、サッカーボールを与えてくれたのが父だった」。砕いた父の足の遺骨をお守りにして、サッカーバッグに忍ばせて今大会に臨んでいた。「父がどこかで背中を押してくれた」。サッカーと出合わせてくれた父と、父を亡くした後に気遣ってくれた仲間への感謝を込めたゴールでもあった。
鮫島が弾みをつけた勢いを、チームは最後まで失わなかった。後半2分。自陣ペナルティーエリア内で、DF柿原航平(2年)がハンドの反則。微妙な判定で同点とされたが、直後にMF五領を投入。これが当たった。竹元真樹監督(34)は「うちは2、3番目の選手が(レギュラーと)変わらない」。狙い通り同32分、FW遠藤のシュートが相手DFに当たってゴール前にこぼれたボールを、MF里慎也(2年)がつなぎ、最後は五領がネットを揺らした。「絶対に決めてやろうという気持ちだった」。父を亡くした鮫島に対し、気遣い続けたイレブン。強くなった結束力は、大舞台で同点のPKを与え肩を落とす柿原を土壇場で救った。
ゼロからの出発で創部5年目8強進出を手にした。全国大会連覇の実績を持つ高校女子サッカー部と中学部も指揮していた竹元監督が、6年前に火山礫(れき)が埋まる河川敷にサッカー部専用グラウンドをつくった。塗木主将ら中学部から神村学園の扉をたたいた主力の大半は、石拾いから練習を始めるつらさを味わってきた。「全国の8つに入ったなんて、まだ信じられない。今まで夢物語でやってきたのに、あと1つ勝てば国立。それが目前に見えてきた」。そう話す竹元監督の表情には自信がみなぎっていた。
初出場の8強進出は、03年度の筑陽学園(福岡)以来3年ぶり。その筑陽学園は決勝まで勝ち上がった。05年春のセンバツでは硬式野球部が、甲子園初出場で準優勝した。「自分たちもやれないわけはない」と塗木主将。「国立までお父さんを連れていきたい」と鮫島が火をつけた神村学園の目標は、もちろん初出場Vしかない。【村田義治】
◆鮫島翼(さめしま・つばさ)1990年(平2)1月22日生まれ。鹿児島県坊津町(現南さつま市)出身。FC坊津をへて、中学では鹿児島太陽スポーツクラブで県大会優勝に貢献した。高等部から神村学園に進んだ。50メートル走6秒5。173センチ、60キロ。家族は母と姉2人、妹。血液型O。
[2007年1月4日8時41分 紙面から]
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