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コラム W杯はイタリアもV候補
先月、フィレンツェで行われたイタリア対ドイツの試合はイタリア国内ではワールドカップ前の代表チームの状態を知るための重要な試合と位置づけられていた。もちろん、この試合はイタリア国内にとどまらず世界中のサッカーファンも注目したに違いない。
結果は4-1でイタリアの圧勝に終わった。正直な私の感想は「イタリアの強さ」よりも「ドイツの状態の悪さ」の方が印象に残ってしまった。インテルへの移籍が噂されていたバラックも全く良いところがなく、クリンスマン監督のベンチ内での表情から打つ手なしという感じすらした。私の周りにいるサッカー関係者は口をそろえて言う。「イタリアはワールドカップ直前の試合で調子が良いとたいてい本大会はダメ」。何だか前回優勝国のブラジルもそういえばそうだったような…。
それはともかくとして私は現在のイタリア代表をブラジルに続く優勝候補に挙げたい。
イタリア代表は常に優秀なストライカーとセンターバック、そして世界でも最高クラスのGKに恵まれてきた。今回の代表にもGKブッフォン、DFにカンナバーロ、ネスタそして攻撃陣は今やアズーリのエースにまで成長した感のあるトニを筆頭にジラルディーノ、デルピエロ、トッティ、インザーギなど、3トップであれ2トップ+トップ下であれ、十分1試合2点以上取れるメンバーがそろう。この中の誰かが1982年のロッシ、1990年のスキラッチ、1994年のR・バッジョのように得点王争いを演じる可能性は極めて高い。
ここで私が注目したいのは、今回のアズーリにはこれまでになく中盤のタレントが充実していることだ。中盤の底にピルロ、右にカモラネージ、左にデ・ロッシ、また違ったタイプのガットゥーゾなど優勝した1982年のアントニオーニ、ブルーノ・コンティ、タルデリたちを彷彿させるクオリティーの高さをみせている。特にデ・ロッシ(ローマ)は私の大好きな選手の1人で攻守に高いレベルを持ち、しっかりとした守備からチャンスとみると長い距離をフリーランニングし、相手の危険なスペースへと飛び出していく。その上、決定力もあるから怖い。そういった事から今回のイタリア代表のチームバランスは間違いなく、優勝候補に挙げられる。
さらに言えば、リッピ監督とイタリアサッカー協会、そしてマスコミ、国民の関係である。もちろん、一部には現体制やサッカー自体の戦術・采配に異論を唱える人もいるが、現在ワールドカップを1カ月半後に控え、彼らの大会に挑む準備体制、精神状態は非常にまとまっている。国民やマスコミはみずからの過大な期待を巧くコントロールし、心地よいモチベーションを選手に与えているように見えるし、協会とリッピ監督は淡々とみずからが描いたサクセスロードを突き進んでいる。このまま順調に行けば1982年以来の優勝が見えてくる。
もちろん、不安要素もある。ほかの強国にたがわず、ビッグクラブから多くの選手を選出するだけにコンディションやケガの問題が考えられる。特に、センターバックのポジションはバックアップメンバーが薄く、カンナバーロやネスタが出場できないと厳しい感がある。しかし、今回は開催地がヨーロッパであることや、ビッグクラブでプレーする選手のコンディション状態を知り尽くしているリッピが監督であることを考えると、この不安要素も「想定の範囲内」なのかも知れない。
いずれにしても本大会まであと1ヵ月半、個人的にはイタリアと日本が今大会を盛り上げてくれることを祈っている。【セリエBベローナ・立石敬之コーチ】
◆立石敬之(たていし・たかゆき)1969年(昭和44)7月8日、北九州市出身。響南中(現若松中)で全国3位。国見高では総体準優勝、選手権初優勝のメンバー。創価大3年のときブラジル、アルゼンチンへ留学。ポジションはMF。卒業後、平塚-東京ガス-大分でプレー。99年、引退後はユースやサテライトコーチ、強化部長などを歴任した。今月上旬、日本協会A級ライセンス養成講習会に参加。家族は夫人と1男1女。
[2006年4月11日16時0分]
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