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ソフトB斉藤和が気迫6勝目、2・5差

6回裏日本ハム2死満塁、斉藤和は高橋を三振に仕留めガッツポーズ
6回裏日本ハム2死満塁、斉藤和は高橋を三振に仕留めガッツポーズ

<日本ハム2-3ソフトバンク>◇23日◇札幌ドーム

 やっぱり頼りになる。ソフトバンクのエース斉藤和巳投手(29)が、首位日本ハムとの最後の直接対決第1ラウンドに先発。6回0/3を6安打2失点の力投で今季6勝目。これで日曜日登板は、プロデビュー以来、無傷の11連勝をマーク。打線も4番小久保、伏兵井手に本塁打が飛び出し、チーム11試合ぶりのマルチ本塁打で日本ハムに辛勝した。残り9試合で、首位日本ハムとのゲーム差は2・5。厳しい状況に変わりないが、王ホークスは最後まで逆転Vをあきらめない。

 追い詰められるほど、力を発揮する。斉藤和が今季初めて、マウンド上で激しく3度もほえた。

 2点リードで迎えた6回。2死一、二塁で4番セギノールに死球を与えた。その場にうずくまるセギノールを横目に、斉藤和は肩を冷やさないように平然とキャッチボールを行う。球場の約9割以上を埋め尽くす日本ハムファンからは、容赦なくブーイングを浴びた。「冷静だったというか、何も(気持ちは)変わらなかったよ。03年の(日本シリーズ)甲子園で免疫が付いてるからね」。2死満塁。1発出れば逆転のピンチを背負っても、この男は動じなかった。

 初球。相手打者の虚を突くような116キロカーブで入った。打席の高橋は完全にタイミングをずらされ、1ストライク。もうこの時点で勝負は9割方、決した。その後は3球続けた直球で2-1と追い込むと、最後もこの日最速となる149キロ直球で空振り三振に仕留めた。「あそこは(試合の)ポイントになるところだった。余力を残すつもりもなかったしね」。無失点で切り抜けたエースは、何かを叫ぶように両腕でガッツポーズをつくった。気迫が勝った。

 昨季プレーオフ最終戦。斉藤和はこの日と同じマウンドでサヨナラ打を許し、敵地マウンド上に片ひざを付いて崩れ落ちた。冷静沈着かつ闘争心あふれるエースが感情をコントロールできず、大泣きした。胃がんでチームを離れた王監督を胴上げするというチームの“約束”も果たせず、親しい関係者には「もう野球をやめたい」と漏らすこともあったという。弱音を滅多に吐かない男は、心底憔悴(しょうすい)していた。

 だが、この男は戻ってきた。昨季の蓄積疲労の影響で、今季は本来の姿とはほど遠い状態にある。今でも中10日調整を強いられるほどだ。思い通りに回復しない右肩の「もどかしさ」とも戦い続ける。そんな斉藤和を突き動かすものは、やはり「今年こそ王監督を胴上げする」という一点だけ。失意のマウンド以来の、札幌ドームでの登板だったが「信じてもらえないだろうけど、借りを返そうなんて少しも思ってない。あれは終わったこと」ときっぱり言った。斉藤和の中ではもう、過去のものとなっていた。

 7回に2安打され降板したが、勝利を呼び込んだのは間違いなく斉藤和の気迫のこもった投球だった。これで斉藤和の日曜日登板は、デビュー以来、無傷の11連勝。「オレらは目の前の試合を勝って行くしか(逆転優勝への)手段はない。追われる方のしんどさは分かっている。追う方の強みを見せる」と話した。

 「(登板)間隔があいてるけど、いい投球を見せてくれるよ」。王監督はエースの力投に称賛を送った。日本ハムとのゲーム差も2・5と縮まり、24日の直接対決最終戦は勝利が至上命題だ。先発には前回登板で今季初完封と好調の新垣が上がる。「チーム状況も分かっていると思うし、本来の投球をしてくれればね。彼の球なら打たれない」。王監督の期待、エースの力投、ファンの思い。すべては背番号18に託された。【石田泰隆】

[2007年9月24日8時15分 紙面から]

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