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ソフトB大隣が初先発で初勝利

初先発でプロ初勝利を飾った大隣(左)は王監督に祝福される
初先発でプロ初勝利を飾った大隣(左)は王監督に祝福される

<広島3―6ソフトバンク>◇9日◇広島

 ソフトバンクの希望枠ルーキー大隣憲司投手(22)がプロ初登板で初勝利を挙げた。広島4回戦に先発。初回に梵の先頭打者本塁打などで2失点も、2回以降は軌道修正。7回4安打3失点(自責2)で降板。8回に味方打線が逆転し、プロ1勝を手にした。初被弾に失点、三振、四球、暴投、盗塁、安打など初物づくしのデビュー戦だった。相次ぐ故障を乗り越えた大型左腕が、今季初の交流戦連勝をもたらした。

 もう怖いものなどなかった。自分の鼓動を感じながら立った初マウンド。プロ2球目。梵に先頭打者本塁打を浴びた。続いて四球。三振の後に盗塁を許し、また四球。適時打も浴びた。1死はとったが2失点。散々な立ち上がりだ。マウンドに駆け寄ってきた杉本投手コーチの言葉で大隣が開き直った。「三振に本塁打、四球、ヒットも。もう全部出したやろ。思い切って行け」。

 別人になった。6回1死まで打者15人連続で凡打に斬(き)る大隣ショーだ。「2回から自分の間合いで投げられた。修正できましたね」。直球の最速は146キロ。内外角の出し入れとチェンジアップを使った緩急差で揺さぶり、スライダーで仕留めた。初回のように小久保、川崎が声をかける必要はない。6回に再被弾し、暴投も記録。だが、もう崩れない。打者28人と対戦し、7回4安打3失点(自責2)でお役御免となった。

 直後の8回だ。ご褒美とばかりに松中に逆転3ランが飛び出した。「びっくりしました。後は投手陣が万全なんで大丈夫と思った」。ソフトバンクでは04年3月30日の馬原以来となる、初登板初白星が転がり込んだ。ウイニングボールはその馬原から受け取った。「うれしいのひと言。打線に助けてもらい、勝たせてもらった。歓声? すごく気持ち良くて、この中で野球をやっていきたいと思いました」。マウンド上のふてぶてしさを一変させ、さわやかな笑顔を振りまいた。

 希望枠ルーキーとして期待されながら、相次ぐ故障で開幕は2軍スタートとなった。1軍昇格に備えて順調に調整してきたが、初実戦となった4月29日の四国アイランドリーグ交流戦で大隣のプライドはボロボロになった。毎回先頭打者に出塁を許すなど、3回5安打2失点。「何でって思った。打たれて相当ヘコみました」。自信を打ち砕かれ、その夜は眠れなかった。

 ブルペンで投げ込みを始めた。近大時代はブルペンで20~50球を投げる程度だったが「野球への意識が変わりました」。最多で151球。投げ込むうちに自然と下半身が安定し、フォームが定まるのを実感できた。「江夏2世」と騒がれた左腕は、雑草のようにタフに芽を伸ばし、1軍にはい上がった。

 1日に1軍に合流し、登板5日前に先発を告げられた。「全然、緊張しませんでした」。言葉と裏腹に午後11時の就寝後、午前2時と5時に目が覚めた。ジワジワとくる重圧にも耐え、初勝利で苦労は報われた。

 ローテの谷間を新人左腕で勝ち、チームに今季交流戦初の連勝をもたらした。「(失点後は)1点もやらない気持ちで投げていたし、1点の重みが分かった。それを今後に生かしたい」。観戦に訪れた両親にプレゼントする予定のウイニングボールをギュッと握った瞬間が、印象的だった。ここまで貴重な経験を重ねて大隣のプロ人生がやっと開幕した。【押谷謙爾】

 ソフトバンク杉本投手コーチ(先発大隣の投球に)「最初の1回で本塁打とかすべてを経験して力みが取れたんじゃないかな。今後は他の先発投手の兼ね合いもあるが、選択肢として入ってきたのは間違いない」

 ▼大隣が初登板を白星で飾った。新人投手の初登板初勝利は4月1日小嶋(阪神)に次ぎ2人目で、ソフトバンクでは04年3月30日馬原以来になる。これで白星を挙げた新人投手は今季10人目。そのうち宮崎(広島)を除いた9人は先発勝利を記録。ドラフト制後(66年~)、先発勝利を記録した新人投手が6月までに9人も出たのは初めてだ。現在、トップは金刃の5勝で、3勝以上が5人。99年に上原(巨人)松坂(西武)ら5人が2ケタ勝利をマークしたが、今年の新人は何人10勝できるか。

[2007年6月10日9時19分 紙面から]

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