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ソフトB斉藤和が号泣

9回裏、稲葉にサヨナラ打を浴び号泣する斉藤和は、支えられて引き揚げる
9回裏、稲葉にサヨナラ打を浴び号泣する斉藤和は、支えられて引き揚げる

<プレーオフ第2ステージ:日本ハム1-0ソフトバンク>◇12日◇札幌ドーム

 来年こそ、王監督を胴上げする-。ソフトバンクが、3年連続でプレーオフ第2ステージで敗退した。エース斉藤和巳投手(28)が、6年ぶりに中4日で先発。9回2死一、二塁からサヨナラ内野安打を打たれた。第1ステージ初戦同様、打線は9回まで無得点。全く援護なしにも、V逸の責任を一身に背負うように、マウンド上で号泣した。球団側は王貞治監督(66)の続投を前提にチーム運営を進めており、来季は背番号「89」の指揮の下、4年ぶりのV奪還に挑む。

 見ていても痛々しいほどの脱力感だった。ベンチ裏の静寂を破るように、斉藤和のおえつが響いた。日本ハム森本が25年ぶりのリーグ優勝を決める、ホームを踏んだ瞬間、マウンド上で片ひざを付き、固まった。号泣していた。ズレータ、カブレラに両肩を抱えられ、ようやくベンチに戻った。マウンド上では冷静沈着かつ闘争心あふれるエースが、感情をコントロールできないほど、敗戦のショックは大きかった。

 6年ぶりの中4日先発。チームの命運を託された。8回まで日本ハム打線を無得点に沈黙させた。半面、打線も援護できない。第1ステージ初戦と合わせ、斉藤和が登板した今プレーオフは打線が18イニング無得点。「力は出し切った。出し切ったけど、こういう結果だった。今年に限っては、日本ハムの方が力が上ということを認めなければいけない」。バスに乗り込む直前、4冠投手は言い訳を一切、口にしなかった。

 3年連続で、第2ステージで負けた。何より、勝って福岡に戻ることができなかった。王監督との約束を2度、破った。シーズン中は「1位通過」を合言葉に戦った。結果は3位。プレーオフは第2ステージ第3戦以降まで勝ち残り、王監督の直接観戦を実現することが最低目標だった。もちろん「王監督の胴上げ」という合言葉もあった。「そういう思いでずっとやってきた。こういう結果になって、僕だけでなく、チームもファンも残念に思っていると思う」。斉藤和の涙の背景にはそんな思いがあった。入院中の王監督を見舞った際、投手陣のまとめ役をあらためて求められた。王監督の早期復帰を尋ねられたときには「そんなことは軽々しく言えない。僕の中で監督は簡単に言える存在ではないし、そんなつながりではない」。それほど、指揮官を慕う気持ちは強かった。森脇監督代行は「代行という立場で言うなら、1位通過、(試合を)福岡に持ち越す、と何1つ達成できなかった。それは残念で責任というか、罪の意識さえ感じる」と、涙をこらえながら、ざんげした。

 途中から王監督不在の今季は終わった。都内の自宅でテレビ観戦した王監督は試合後、球団を通じてチームにメッセージを送った。「とにかく、お疲れさま。早速、秋の練習が始まるわけだが、この悔しさをバネに、それぞれの課題を克服できるようにしてほしい。常に挑む姿勢を忘れず、取り組んでほしい」。王監督の目はすでに来季に向いていた。球団側も来季続投をすでに決定している。福岡でのプレーオフ練習を視察した際には、自宅近くの定食店に足を運び「さばの煮込み定食」を食べるなど、順調に回復の道を歩んでいる。球団関係者には「何とかキャンプには間に合わせたい」と、来年2月の春季キャンプからの現場復帰を描いているという。

 昨シーズン終了後、王監督は東京・汐留のソフトバンク本社に招かれ、孫オーナーと会食した。約1000坪はあるといわれる、孫オーナーの26階フロアには日本庭園がある。そこの大広間に案内された。「優勝して、ここに監督、選手の皆さんに集まっていただきたいですね」。孫オーナーの言葉に、王監督は大きくうなずいたという。そんなオーナーの夢を、今季もかなえられなかった。ファンが、周囲が、そして何より王監督自身が求める「優勝」を、来季こそ自らの手でつかむ。【中村泰三】

[2006年10月13日8時28分 紙面から]

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