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ソフトB松中が涙の1発含む5打点

9回表、松中は中越え3点本塁打を放ちズレータとハイタッチを交わす
9回表、松中は中越え3点本塁打を放ちズレータとハイタッチを交わす

<プレーオフ第1ステージ:ソフトバンク11-3西武>◇第2戦◇8日◇インボイス西武

 悩み抜いた主砲が、お立ち台で涙を浮かべた-。ソフトバンクが主砲の一振りで、プレーオフ第1ステージ突破へ“逆王手”だ。4番松中信彦内野手(32)のバットがついに火を噴いた。9回、バックスクリーン右へ、プレーオフ第1号となるダメ押し3ランを放った。6、8回の適時打を含め3安打5打点と大暴れ。初戦完封負けの打線も、松中に引っ張られるように12安打11得点。「王監督を胴上げする」を合言葉に戦うチームは9日、西武との第3戦に勝てば第2ステージ進出が決まる。

 体重100キロを超す男が、3万人を超す大観衆の前で、涙を流した。過去2年を含め、プレーオフで初のヒーローインタビュー。松中は、9回に放ったプレーオフ初本塁打を振り返ると、感極まった。「(過去の)プレーオフでは打てず、本当にファンの皆さんには、ものすごく…ものすごくガッカリさせた。何とか今回の短期決戦では打ちたかった」。唇を震わせ、何度も歯を食いしばった。それでも、涙をこらえることはできなかった。

 3点リードで迎えた9回。1点を追加し、なおも2死一、三塁で5打席目が回ってきた。時間は午後4時20分を回り、三塁内野席後方から射す強い西日が、松中の打席だけを明るく照らす。カウント1-0からの2球目。狙っていた142キロの直球を見逃さなかった。「いい感触だった。満足いく本塁打だった」。本塁を踏む前に左手で人さし指を突き出し、待ち受けたナインとジャンプして喜びを爆発させた。無理もない。9月2日の楽天戦以来、実に74打席ぶりの1発だった。

 過去2度のプレーオフは、散々な結果に終わった。3冠王を獲得した04年は19打数2安打、昨季は16打数1安打と打てず、日本シリーズ出場を逃した。敗戦の責任は結果を残せなかった主砲に向けられた。短期決戦に弱いという嫌なレッテルも張られた。7日の初戦は松坂から2安打を放ったが、それでも周囲から「直球だけではなく(西武4番の)カブレラのように、もっと変化球に対しての意識を強く持った方がいい」という雑音も耳にした。だが、この男は信念を曲げなかった。

 松中 オレはこの世界で王監督に育てられた。監督には、いつも「直球に振り遅れるな」「直球を打ち返せ」と言われてきた。周りが何と言おうと、直球を打ち返すことが、自分のこだわり。

 6、8回の適時打は、いずれも直球を打ち返した。勝利を呼び込み、相手にダメージを与える3安打5打点の活躍で、短期決戦に弱いというレッテルをついに払しょくした。

 7日の敗戦後、宿舎で森脇監督代行、金森打撃コーチと3人で話し合った。すべてはプレーオフを勝ち上がり、王監督を地元福岡で胴上げするため。「王監督には気に掛けてもらっていたし、チームに勢いを付けられてよかった」。松中は9回の守りからベンチに退き、勝利の瞬間はベンチで見届けたが、ハイタッチでは森脇代行より前に出て選手を出迎えるほど、興奮していた。

 自宅でテレビ観戦していた王監督は、球団関係者に「松中とズレータが本来の力を取り戻して一丸になれた。明日(9日)は期待がもてる」と電話で伝えた。主砲の「目覚め」で勢いを取り戻した打線は、もう止まらない。【石田泰隆】

 ソフトバンク笠井オーナー代行(チームの勝利に)「理想的な形で勝つことができました。明日(9日)も球場に来ます」

[2006年10月9日9時16分 紙面から]

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