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ソフトB寺原復活、965日ぶり白星

今季初先発で3年ぶりの勝利を挙げた寺原は、スタンドにサインボールを投げる
今季初先発で3年ぶりの勝利を挙げた寺原は、スタンドにサインボールを投げる

<ソフトバンク6-1ロッテ>◇13日◇千葉マリン

 ソフトバンク寺原隼人投手(22)が、965日ぶりの勝利をつかんだ。今季初先発となったロッテ戦で、5回0/3を投げて5安打1失点。03年8月22日以来の勝利投手となった。01年夏の甲子園で、西武松坂をも越える157・68キロを計測した怪物も、この2年間は不振、故障で0勝どまり。野球人生のラストイヤーにまで位置付けて臨んだ今季、孫正義オーナー(48)が観戦に訪れた御前試合で、見事な復活を果たした。

 記憶が飛んだ。前回勝利したのは、確かに03年8月22日。ヒーローインタビューで寺原が笑った。「2年ぶりですかね? 3年ですか。間違えました」。実に965日ぶりのことだから、それも無理はなかった。

 怪物が生まれ変わった。最速149キロ。01年夏の甲子園で計測した157・68キロには遠く及ばないが、寺原はプロで勝つ投手に変身していた。初回、先頭の西岡に四球を出した。「そのままだと何も成長していない。1人ずつ、低めに、丁寧に一生懸命投げることだけ考えました」。冷静だった。制球力、変化球を組み合わせた総合力で抑えるのが、プロ5年目の寺原だ。今江を137キロのスライダーで空振り三振に奪うと、福浦、ベニーは直球でねじ伏せた。

 高卒ルーキーとして1年目に6勝、2年目も7勝をマークし、順風満帆に思えた野球人生は、迷走した。この2年間は0勝。結果を求める意識が強くなればなるほど、投球フォームを見失った。上半身で力任せに投げる。球速も落ちた。昨年のキャンプでは高校時代の投球フォームのビデオを何度も見返した。頭の中ではイメージできても、現実は違った。昨年7月には練習中の不注意で、左足じん帯を断裂。全治3カ月。「何をやってんだろうって思いました。野球選手なのに野球ができない」。

 昨年のオフ。「今年だめなら野球を辞める覚悟です」。トークショーで自分のファンを前に宣言し、退路を断った。宮崎キャンプではキャッチボールの基本動作から矯正した。地道な反復練習を繰り返した。ある時、ブルペンでの投球練習を終えると、ユニホームの右ひざの部分が土で汚れていた。「高校のときはべったり付いていたんですよ」。悩み続けた体重移動が、スムーズに行われた証拠だった。

 3回に1点を失ったが、最少失点でバトンを中継ぎにつなげた。「中継ぎの皆さんに感謝してます。勝てないときも周りの人に支えてもらって…。ヨメさんにも」。高校時代の後輩の夫人と結婚したのは03年12月。昨年11月には第1子(長男)も授かった。これが所帯を持ってから初めての勝利。普段は宿舎に置いている子供の写真をロッカー室に持ち込んだ。「生まれて初めての1軍だし、間近で見せてやりたかった」。帽子のツバに子供の名前を書き込み、ともに戦った。

 王監督は「もう少し投げられたかもしれないが、勝ちをつけてやることがね。次は長いこと放るだろう」と今後の先発入りにお墨付きを与えた。「まだ1勝。与えられたチャンスをきっちりものにしないと」。寺原がつかんだ965日ぶりの勝利は、2年間の空白を取り戻す第1歩にすぎない。【中村泰三】

 寺原のプロ4年間

 ◆プロ初勝利 プロ2度目の登板となった02年4月28日のオリックス戦(福岡ドーム)で6回3安打無失点の投球でプロ初勝利。4月中の高卒ルーキーの勝利は、史上5人目の快挙。

 ◆怪物対決 02年5月29日の西武戦(福岡ドーム)で、松坂との初対決。5回途中KOの松坂に対し、寺原は6回を投げ4安打2失点で勝利投手に。プロ自己最速の151キロも計測した。

 ◆特別ボーナス プロ1年目は高卒として球団新記録の6勝を挙げた。球団側はグラウンドの成績だけでなく、選手グッズの売り上げが城島、小久保(現巨人)に次ぐ3位だったこともあり1000万円のボーナスを支給した。

 ◆故障 昨年7月の練習中には、ボールを誤って踏み、左足じん帯断裂で全治3カ月の重傷を負った。

 ◆通算成績 2年目に自己記録更新の7勝を挙げたが、04、05年は不調で2年連続0勝に終わった。プロ4年間の通算成績は40試合登板、13勝7敗1セーブ。

 ◆結婚 03年12月8日に日南学園の1年後輩と入籍。05年11月13日に、第1子(長男)が誕生。

[2006年4月14日9時0分 紙面から]

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