ソフトB多村、小久保流で柵越え20発

- 多村は後方で松中が見つめる中、フリー打撃で快音を響かせる
横浜から移籍したソフトバンク多村仁外野手(29)が4日、小久保効果で開幕クリーンアップ入りに“当確ランプ”をともした。宮崎春季キャンプ第1クール最終日。フリー打撃で小久保裕紀内野手(35)を教科書にして打撃フォームを微調整すると、ランチ特打と合わせて20発の柵越えを披露。王貞治監督(66)も第1クールの「MIP」に多村を挙げ、期待の新戦力が評判どおりのパワーを見せつけた。
設置を完了した打撃ケージに真っ先に背番号6が飛び込んだ。今キャンプ初となる昼下がりのランチ特打。エンジンのかからない新外国人を尻目に、多村がまずは5本のアーチを生目の杜(もり)の空に描いた。うち2発は両翼120メートルの球場から飛び出す場外弾。続くフリー打撃では、今キャンプの風物詩になってきた小久保、松中との競演で、バットの振りはさらに鋭くなった。83スイングで15本をフェンスの向こう側へ。王監督ら首脳陣の前で迫力満点のデモ弾を放った。「今日は暖かかったから、よく振れましたね」。この日宮崎市内の最高気温は14・9度。ただ、多村が勢いづいたのは陽気のせいだけではなかった。
3つのケージに順番に入るフリー打撃の合間には小久保のフォームを背後や横から細かくチェックしていた。
多村 少しトップの位置が良くなかった。小久保さんを見ていると、タメができているし、トップの位置もいいですもんね。生きた教材ですし、勉強になります。横浜だと、なかなかそういうのはできませんでしたしね。
本塁打王を獲得したこともある6歳上の先輩は多村にとって最高の教科書だった。効果はすぐに表れた。小久保と似た、左足を高めに上げるフォームから強い打球を放った。第1クールでは連日柵越えを記録、好アピールが光った。「みんながやるから自然と気持ちが高まってくるのを抑え切れない」と、横浜時代より早い調整スピードに自分でも驚いた。競争意識が高い新天地、何より小久保の存在が刺激になっていた。
ケージ脇でフリー打撃を見守った王監督もご機嫌だった。力強い打球を飛ばす多村に“シャドースイング”で何度となく合わせた。第1クールで印象に残った選手はという質問には「多村はこちらが考えていたとおり。いいリストをしていて楽しみだね」と迷わず答えた。「MIP」に指名すると同時に、パ・リーグ屈指のクリーンアップ結成にも“当確ランプ”をともした。
王監督 小久保、松中といい勝負をしてくれるでしょう。3人で3、4、5番が決まってくれたらうれしいね。昨年より攻撃的な打線を組み立てたいと思う。
多村の予想以上の充実ぶりに指揮官の口も思わず緩んだ。高評価を伝え聞いた多村も「うれしいですね」とニカッと目尻を下げる、人懐っこい笑みを浮かべた。「そう言ってもらえるよう続けたい。スイングはいい感じができてきたけど、毎回でないので確率を上げたいですね」。全体練習が終わると、野球教室に参加。さらにランニング、ウエートトレをこなし、午後6時に再び球場に姿を見せた。カクテル光線を浴び、芝生を走り込んだ。その背中は今季の爆発の予兆のようにキラキラと輝いていた。【押谷謙爾】
[2007年2月5日11時54分 紙面から]
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