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ソフトBに中堅定位置争奪戦ぼっ発

センターでシートノックを受ける多村(左)と大村
センターでシートノックを受ける多村(左)と大村

 ソフトバンクに中堅定位置争奪戦がぼっ発した。宮崎春季キャンプ3日目の3日、シートノックが始まった。中堅には昨年パ・リーグで唯一フル出場の大村直之外野手(30)と横浜から加入の多村仁外野手(29)が入り、2人そろって特守も受けた。王貞治監督(66)は過去の実績を無視して「競い合わない方がおかしい」と断言。ポジションをめぐる競争意識をあおることで、チーム全体が活性化する波及効果に期待した。

 客席から遠く離れた、中堅で争いの火ぶたは静かに切って落とされた。

 陽光に照らされた芝生に並んだ大村と多村。昨年ソフトバンクと横浜でセンターを守った名手たちが、森脇内野守備走塁コーチのバットから放たれる打球を鮮やかなグラブさばきと絶妙にコントロールされた本塁返球で競演した。今キャンプ初のシートノック。捕手のミットにボールが収まるたびに歓声が上がる。互いに笑みを浮かべ一見リラックスムードたっぷりだが、後ろ手に組んで見守った王監督は迷いもなく“開戦”を告げた。

 王監督 2人が競い合って、今まで以上のものが出せればいい。それが本人たちのためになるし、ならないことはやらない。セ・リーグの優秀な外野手が入ってきたわけだし、競い合わない方がおかしい。ゴールデングラブ賞とかは関係ないし、あくまで2006年までのこと。今は2007年型だからね。

 過去ゴールデングラブ賞3度、ベストナイン1度の実績がある大村は昨年ホークスの中堅を守り抜き、パ・リーグ唯一の全試合出場まで果たした。「大村が(中堅で)機能するのは分かっているんだ」。あえて指揮官はそれをリセットし、新たな競争を生み出した。“対戦相手”に指名した多村は大村同様に俊足を生かした守備範囲の広さが武器。昨年のWBC(ワールド・ベースボール・クラシック)では日本代表の左翼を守り、世界一に貢献した。2人を競わせることで、野手としてのポテンシャルをさらに向上させる狙いがある。

 午後からは井出外野守備走塁コーチの下、そろって特守に取り組んだ。背走しながらのフライ捕球などで約1時間、ライバルは“直接対決”で汗を流した。

 中堅争奪戦の火中にいる当事者たちは冷静を努めた。「多村君は横浜で実績ある人。いい選手だし、学ぶとこがあるしね。センターへのこだわり? 試合に出られた方がいいよ。ライトもレフトもやれた方がいいし」。大村が言えば、1歳年下の多村も同調。「外野はどこでも守れる。言われたとこでやれる自信はある。大村さんに対する意識もないですよ」。周囲が関心を持つ対決ムードは封印した。それでも特守後、大村はメーン球場から多目的広場へ場所を移してランニング。5分後には多村も沿道をファンで埋めた移動通路をダッシュで駆け抜け、ランニングに取り組んだ。王監督の期待する効果は自然と表われていた。

 「2人を併用するわけじゃないし、どちらかが左右に行くわけだからね」と王監督。キャンプを通じて1枠を競い合わせ、その競争意識が外野の底上げにつながると確信している。「うちも日本ハムみたいになりたいね」。森本、新庄、稲葉でゴールデングラブ賞外野手部門を独占した昨年の日本ハムを引き合いに出し、指揮官は日本一奪回の思いを強くした。強烈な競争意識によるチーム全体への波及効果は計り知れない。07年型チームの礎(いしずえ)は中堅から着工された。【押谷謙爾】

多村、大村ユニーク特守

○…多村と大村は特守でユニークなメニューに取り組んだ。5メートル離れた2人が向き合って目を合わせ、間に座った井出外野守備走塁コーチが投げる球をキャッチするもの。同コーチは「目線を動かさず、感覚で捕る練習。ノックではできない難しい打球の設定で、フェンス際ではそういうのが多い」。両翼100メートル、フェンスの高さ5・84メートルの福岡ヤフードームでの守りを想定したものだが、ポジションを争う2人が笑って見詰め合う姿は、少々、怖く…。

[2007年2月4日9時31分 紙面から]

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