ソフトB王監督が「金メダル策」を伝授

- ソフトバンクのキャンプ視察に訪れた星野日本代表監督(右)と話をする王監督
ソフトバンク王貞治監督(66)が2日、北京五輪出場を目指す野球日本代表の星野仙一監督(60)に「金言」を授けた。王監督はこの日、宮崎・生目の杜運動公園内で星野監督、田淵ヘッド兼打撃、山本守備走塁、大野投手各コーチから表敬訪問を受けた。王監督は昨年3月の国別対抗戦ワールド・ベースボール・クラシック(WBC)で、日本代表を率いて世界一に輝いた経験を踏まえ、星野監督に「裏方スタッフの充実」と金メダル獲得へのアドバイスを送った。WBCでは担当コーチ、スコアラーが徹底して情報収集、分析を行い、対戦国を丸裸にした。星野ジャパンへの選手派遣も全面支援を約束し、物心両面で金メダル獲得をサポートする。
世界の舞台に挑む指揮官には、最高の贈り物だった。世界一を極めた王監督の言葉に勝る教えはない。表敬訪問に訪れた星野監督に、王監督が授けた金言は、人選方法でも、チームマネジメントでもない。「スコアラー、打撃投手、打撃捕手、あそこはピシっとしなければ、と言われた」と星野監督は明かした。王監督のアドバイスは、陰で日本代表チームを支える、裏方スタッフの整備だった。
星野監督との対面は昨年3月、米アナハイムでのWBC2次リーグ以来のことだった。当時を思い返すように、王監督は言った。「WBCでは練習するにあたって元プロの選手、アマの詳しい人などにも投げてもらったりした。選手と違って裏方さんはむしろ人数制限がない。そこはしっかりやった方がいい」。中でも王監督は他国の情報分析を行うスコアラー部門の強化を説いた。
WBCではNPBのスコアラーの情報と並行して、各コーチが情報収集にあたった。鹿取、武田コーチは一昨年11月から台湾、ドミニカ共和国に飛び、台湾シリーズ、ウインターリーグを観戦し、主力選手、野球スタイルなど生の情報を収集。また、独自ルートで米国、キューバ、韓国、ベネズエラなど、強豪国の映像も入手し、スコアラーの作成したチャートを、より立体的に解析した。「WBCでは鹿取、武田(両投手コーチ)が自分のルートでも情報を集めてきたからね。情報に集め過ぎというのはない。集められる態勢は整えた方がいい」と王監督は力説した。
星野監督に全面支援も確約した。松中、川崎、和田、杉内、馬原に、横浜から移籍した多村を含めると、ソフトバンクはWBCメンバー6人を擁する。「王監督は『うちから一番持っていくんだろ?』と言ってた。それだけシーズンに自信があるのだろう」と星野監督。王監督は「それだけうちは(戦力に)自負があるわけだから。候補が多いのは分かっている。代表選手が1人もいないより、多くいた方がいい」と、12球団トップの選手供給に自信さえ見せた。また、メジャー選手の招集については「それは考えているでしょう。ただ、WBCは予選と本戦が同じメンバーだったが、今回は違う。選手の意気込みが難しい」と、現時点ではメジャー選手の本大会出場が不透明なだけに、慎重な意見だった。
今年11月には台湾でアジア予選が始まり、北京五輪は来年8月に開幕する。「大変だよ、来年の8月までだろ」と、王監督は星野監督が背負う日の丸のプレッシャーを気遣った。「秋に決めたいよね。韓国、台湾も予選で決めようと必死だろうし、予選の方が大事。(WBCより)意気込みがより強いのは想像つく。特に韓国は予選にメジャーが出てくるだろうし、WBCでも苦しめられたよ」と王監督はWBCで2敗した韓国を、最大のライバル国に挙げた。「今のところ今回が五輪ラスト。1戦1戦できる態勢を整えたいよね」。WBC監督、ソフトバンク監督の両面で、王監督は星野ジャパンをバックアップするつもりだ。【中村泰三】
[2007年2月3日9時59分 紙面から]
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