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ソフトB王監督が走った

全体ミーティングで王監督は指針を掲げ選手に話をする(撮影・藤尾明華)
全体ミーティングで王監督は指針を掲げ選手に話をする(撮影・藤尾明華)

 王さんが走った! ソフトバンク王貞治監督(66)がキャンプイン前日の1月31日、チームとともに宮崎入りした。キャンプ期間中の安全祈願のため、参拝に訪れた宮崎市内の生目神社で、約30メートルの小走りを披露。今日1日から完全復帰する春季キャンプへ万全の状態をアピールした。選手宿舎でのミーティングでは07年監督指針「原点回帰」を発表。昨年、胃がんの手術を受け、3カ月間、病室からチームを見守った印象を元に「基本に忠実に」「改善する意識を強く持て」「総ての動きは足で行え」という3項目の指針を打ち出した。目標に掲げた第1回クライマックスシリーズ制覇、4年ぶりの日本一奪還に向け、参道での小走り同様、王監督がシーズンでもチームを快走させる。

 突然だった。キャンプの安全祈願を終えた生目神社の参道が、王監督の健康状態を示すバロメーターになった。移動バスへと続く下りの参道を、報道陣に囲まれた王監督が歩いていた。階段も残り6段に差し掛かろうとしたときだった。「待たしちゃいかんな」。走った。軽快な小走りで王監督がスタートを切った。ネクタイを締めた背広姿に、黒の革靴も気にならない。階段を3段、踊り場の砂利道も駆け抜けた。そのまま残り3段の階段を足取りも軽く通過し、一気にバスを目指す。アスファルトの舗装道も含め、約30メートルを“完走”した。

 予想以上の回復ぶりだった。キャンプに備えて23日に福岡入りすると、福岡ヤフードーム内でウオーキングなどの“自主トレ”にも励んで、今日1日からのキャンプに備えた。昨年9月の退院後は、入院生活で筋力が低下し、右足首にねん挫防止のために固定具を装着していたほど。16日の監督コーチ会議では「ここまで来たらシーズンを全うする覚悟でやるが、リタイアする可能性も視野に入れながらやっていきたい」と途中離脱さえ覚悟して復帰を表明していた。「走ったといっても小走りだよ。おおげさな」と王監督は笑い飛ばしたが、キャンプへの準備は十分だった。

 選手宿舎到着後に行われたミーティングでは「原点回帰」を柱とした、07年監督指針を発表した。「基本に忠実に」「改善する意識を強く持て」「総ての動きは足で行え」。この3項目は昨年の闘病中、テレビを通してチームを見守った印象から導き出した。「病院では(テレビ映像の)後ろからの視点で見たが、いい仕事をしている人は基本から外れたプレーは少ない。古いフィルムを引っ張り出して見たりもした。自分も常に足を意識していた。投げる、打つ、捕る、すべてにおいて足が大事。野球、すべてのスポーツ、日常生活もそう」。選手には自らの現役生活の体験談を踏まえ、熱っぽく指針を説いた。技術はもちろんだが、すべてのプレーを支える基本、下半身の重要性を再確認させた。

 原点回帰は王監督自身に向けた言葉でもある。ホークス監督として今年が13年目。「13年はちょうど、えとでいうと1回りした。オレ自身、初心に帰ろう、と。選手に言っていることはオレに関係ないことじゃない。運命共同体。日本の1億2、3000万人の中で一緒にやってるんだ。相互理解しないとね」。選手と共有するチーム目標に掲げたのは「クライマックスシリーズ制覇」だ。「第1回だからね。第1回は強い、と自己暗示している」。昨年3月、日本代表を率いて世界一に輝いたワールド・ベースボール・クラシックも第1回だった。「戦力はだいぶ、良くなっている。普通にやれば(ファンの)期待に応えられる」。シーズンを快走する予感を、小走りした宮崎で、揺るぎない自信に変える。【中村泰三】

[2007年2月1日12時4分 紙面から]

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